熱中症対策に最適な服装とは?現場で実践できる工夫まとめ
毎年、職場での熱中症による事故が後を絶ちません。特に建設現場や製造工場など高温環境下での作業では、「どんな服装を選ぶか」が、作業者の命を守る最前線になります。厚生労働省の指針でも、熱中症の予防には作業環境の改善と同時に、適切な服装・装備が極めて重要とされています。本記事では、最新の装備事例や現場で導入が進むアイテムをもとに、実践的かつ効果的な服装対策を紹介します。
ヘルメットは“冷却・遮熱”が新常識に
直射日光が頭部に集中することで、体温の上昇や意識障害のリスクが高まります。ヘルメットは単なる保護具ではなく、“冷却・遮熱機能”のある装備として見直すべきです。
推奨装備例:
- ヘルメット装着用日除け:首筋や側面を覆うことで日射をカットし、熱の蓄積を軽減。
- 保冷剤パッド(頭部冷却パッド):内部に保冷剤を装着し、2~3時間ほど頭部温度を効果的に冷却。
これらのアイテムは、猛暑時の屋外作業や屋根上作業での「WBGT指数が28℃を超える状況」において特に推奨されます。
首・頭回りの冷却グッズで体温管理を
身体の中でも特に熱がこもりやすい「首回り」は、積極的な冷却が必要な部位です。手軽に導入でき、コストパフォーマンスにも優れるアイテムが多く揃っています。
実用アイテム:
- クーリングタオル:水に濡らすだけで冷感を維持。繰り返し使用可能で経済的。
- 冷却アームカバー:UVカット+冷却素材で、直射日光の熱負荷を軽減。日焼け防止の効果も。
これらは屋外作業はもちろん、空調が効きにくい倉庫やビニールハウスなどにも有効です。
能動的な冷却装備:ファン付きジャケットの導入が進む
作業中の発汗と衣服内の熱こもりを抑えるには、「ファン付き作業服」の導入が有効です。近年は製造業や警備業など、屋内外を問わず導入が広がっています。
ファン付きジャケットの特徴:
- 衣服内に風を循環させ、汗の蒸発を促進
- バッテリー駆動で5〜8時間の稼働
- 背中と脇腹から風を送ることで体表温度を下げる
ポイント:朝の出勤時に「バッテリーの充電確認」ができる体制整備も重要です。
通気性・吸汗性を兼ね備えた“基本ウェア”の見直しを
熱中症対策では、“重ね着”や“通気の悪い素材”がリスクを高めます。ベースウェアの選定も見直しましょう。
推奨アイテム:
- 通気性・吸汗性の高いユニフォーム(メッシュ制服)
風通しがよく、汗をすばやく蒸発させて体温上昇を抑制。 - 冷感インナーシャツ
吸熱・遮熱繊維による接触冷感効果で、炎天下でも快適。汗冷えを防ぎ、作業効率を維持。
注意点:綿100%の厚手素材などは、保水性が高く汗が蒸発しにくいため避けましょう。
図:現場作業員の熱中症対策装備例
現場でできる装備まとめ

「首回りの冷却グッズ、ファン付きジャケット、冷感インナーなどを組み合わせて、安全性と作業快適性を同時に確保」
現場での“服装見直し”が組織の信頼を守る
熱中症対策は、空調や水分補給だけでは不十分です。実際の現場では、「いかに体温上昇を抑える服装・装備を整えるか」が安全管理の核心になります。
- ヘルメットには遮熱・冷却パッドを
- 首回りは冷却グッズで重点保護
- ファン付き作業服を積極導入
- インナー・制服は通気性と吸汗性を重視
安全衛生担当・総務部門がこのような装備選定に主体的に関わることで、企業としての「安全配慮義務の実践」と「働きやすい職場環境づくり」が同時に実現できます。